ボードゲーム異種対決のルールを考える 第20回
「囲碁VS将棋」
残りあと2戦まで来たところで、ついにこの対戦カードが来ました。
今までの試行錯誤してきた経験を全て活かして、納得のいくルールになるように最善を尽くしたいと思います。
中途半端なものは作れないなというプレッシャーも感じます。まさに集大成ですね。
この記事を準備している期間に
囲碁界では、最年少プロ棋士として仲邑菫(なかむらすみれ)さんがニュースになりました。なんと、まだ小学4年生だというから驚きです。
藤井聡太棋士の活躍による将棋人気に、どうしても押されていた囲碁界ですが
ここから囲碁人気を盛り上げていってほしいですね。
さて「将棋対囲碁」ということで言えば、すでにニコニコ動画やYouTubeに
有名な動画が上がっていることは承知しています。
その対戦ルールでは囲碁側にも王将を置き、お互いに王将を狙うという方法が使われています。
このブログでは新たな可能性へのチャレンジとして
その方法とは別のアプローチで、対戦ルールを考案していきたいと思います。
囲碁のホームゲーム
実はだいぶ前から、この対戦が来たら囲碁の13路盤を使おうと思っていました。
しかし、実際に将棋の駒を並べてみると、けっこう窮屈なことが分かりました。
一見自然に並んでいるように見えますが
これ、王将が2マスにまたがっているから収まっているだけです。
対局中に駒同士が隣り合わせになったら、駒が置けなくなりそうです。
そして盤が広い分、飛車角に頼らざるを得なくなります。
当然これは本意とするところではないです。
碁盤使いたかったけど、これは無理やねえ(´・ω・`)
将棋のホームゲーム
どうやら、こちらを使うのが正解なようです。
碁盤より狭い分、囲碁が不利になりそうですが
そこをルールで、いかにバランスをとっていくのかが腕の見せ所。
やったるわー(`・ω・´)
基本的には、囲碁の勝利条件は「特定数の地を取ること」にしたいと考えています。
なお、碁石は交点ではなくマスの中に打ちます。
黒石の使い方① 黒石を通行止めとして使いたい。
以前「にゃんこならべVS将棋」や「チェスVSにゃんこならべ」の対戦をしたとき
黒にゃんこを使うことで非常に面白い対戦ルールが作れました。
あの感覚で黒石を使えばバランスが取れそうだというのは
そのときからイメージとして持っていました。
例えばこのように、黒石に進路を止める働きを持たせるならば
大駒だけが暴れるという展開には、なりにくくなります。
飛車角のスピードを抑えたいので
開始時に囲碁は黒石を2つ持っている、くらいにしてみます。
また、歩以外の将棋駒は黒石と相打ち出来ることにしますが、それについては後述します。
もし仮に、白石のみで地を作ろうとするなら、囲碁は手番に2~3手打てないと無理です。
たとえそうしても、飛車角だけが暴れるという問題の解決にはなりません。
しかしこのように黒石を通行止めに使うだけで、それらの問題の解決策の1つになり得ます。
そこで、囲碁は手番に黒と白の両方の石を打つことが出来ることにします。
また最初に持っている黒石は2つだけですが、将棋駒が白石を取るごとに黒石が1つ手に入ります。
どうやって将棋駒を消費させるか
もう1つ考えないといけないのは、将棋駒が対戦中に減っていかないことです。
というのも1つの駒を囲うのに4手かかる囲碁が
自由に動ける将棋駒を取るのは、ほとんど不可能だからです。
「囲碁VSチェス」をやったときは、囲碁が手番に2手打てることにしましたが
それでさえ、動ける駒を取るのは容易ではありませんでした。
黒石の使い方② 黒石を攻撃用として使いたい
より多くの将棋駒が活用されるような対戦にするためには
やはり「将棋駒を倒せる手段」が必要だと考えます。
そこで、将棋駒それぞれの価値に応じた数の黒石を使うことで
その駒を取れるという方法を考えました。
将棋駒の価値をこう設定します。
歩→黒石1個
金銀桂香→黒石2個
飛車角→黒石3個
王→黒石では取れない
つまり歩を取りたければ、手持ちの黒石1つをそこに打てば取れるということです(この黒石はその場所に残ります)
ちなみに、取った駒を囲碁側が使うということは出来ませんからね。
もし飛車や角を取りたければ、手持ちの黒石1つと場にある黒石2つで、計3個が必要になります。
これも、手持ちから打った黒石はその場所に残りますが、場に置いてある黒石2つは消えるということです。
黒石使用の実践例と将棋側の利点
これは「と金」が白石を1子取った場面。
囲碁は、と金1つが来るだけで地が壊滅するくらい脆弱なのです。
しかし白石を取られたことで、囲碁は黒石を1つ手に入れました。
そこで、今手に入れた黒石を使えば「歩(と金)」を取り除くことが出来ますね。
ただし、この方法で将棋駒を取った場合、白石は打てずに即座に将棋側の手番になります。
前半に書いたように、本来は黒石と白石の両方を手番で打てるのですが
将棋駒を取ったデメリットとして、この手番では白石を打てないということです。
また、この方法で「金銀桂香」を取った場合、将棋側は2手続けて打てます。
同様に「飛車角」を取った場合、将棋側は3手続けて打てます。
これは将棋側の大きな利点です。
今度は中央から飛車が飛び込んで、白石を1子取りました。
囲碁は白石を取られたので黒石を1つ手に入れました。
ここで手持ちと盤上の計3つの黒石を使うことで
この飛車を取ることが出来ます。
このように飛車を取りました。
将棋側は飛車を失いましたが、即座に手番になり3手続けて打つことが出来ます。
そこで歩を1つ進め、桂馬を2つ跳ねました。
将棋側は必然、このように大駒以外も活用するようになってきます。
こういう、総力戦になるような対戦にしたかったのです(*^◯^*)
それぞれの勝利条件とアゲハマ
囲碁はいちおう囲碁の基本ルールとして、囲えば将棋駒を取れます。
まあ、そうとう限定的な場面になるでしょうが。
せっかくなので、この正規の取り方で取った駒のみ
アゲハマとして囲碁の地に1目足せることにしたいと思います。
例えば、こうすれば香車が取れますね。
囲碁の勝利条件は、欠け目も含めて自分の手番で計10目の地を作ることとします。
いま香車を抜いた空間も1目の地ですよ。
そして将棋の勝利条件は、白石を10個取ることです。
将棋駒の玉砕攻撃について
次は、黒石との相打ちについてです。実践例で説明します。
この場面、と金が左に寄るだけでは、10目の地が完成するのを崩すのに間に合いません。
そこで将棋側の手段として、黒石に自らぶつかっての相打ちが出来ることにします。
例えばここで角が黒石にぶつかって相打ちになることで
角を失いますが、先ほどのルールと同様、即座に3手駒を動かす権利を得ます。
また、王だけは相打ちにならずに黒石を取れますが、その場合逆に囲碁側が2手続けて白石を打てます。
黒石ルールのまとめ
黒石に関するルールをまとめておきます。
囲碁側が黒石を使って将棋駒を取る場合
「歩」は手持ちの黒石1つで取れる→将棋の手番になる
「金銀桂香」は手持ちの黒石1つと盤上の黒石1つで取れる→将棋が2手打てる
「飛車角」は手持ちの黒石1つと盤上の黒石2つで取れる→将棋が3手打てる
「王」は黒石で取れない
将棋側が黒石にぶつかる場合
「歩」は黒石にぶつかれない(相打ち出来ない)
「金銀桂香」が黒石とぶつかって相打ちになる→即座に将棋が2手打てる
「飛車角」が黒石とぶつかって相打ちになる→即座に将棋が3手打てる
「王」は黒石を取れる→囲碁の手番になり、囲碁が2手打てる
これは将棋側が勝った局面
最後は王将自ら白石を取って、10個目の白石を獲得しました。
囲碁は囲って取った正規のアゲハマが3個。
正規のアゲハマは分かるように分けておきます。
囲碁側にも勝ちそうな局面が何度かあって、ゲームバランスはかなり取れてきました。
今回の完成ルール
ということで、なんとか完成しました。さすがに今までで一番大変でした。
【囲碁の勝利条件】自分の手番で白石で合計10目の地を作る(欠け目も含む)
【将棋の勝利条件】白石を10個取る
【基本ルール】
囲碁は開始時に黒石を2つ持つ。
将棋駒が白石を取ったら、囲碁は黒石を1つ手に入れる。
囲碁は手番に黒石と白石の両方を打つことが出来る。ただし将棋駒を取るために黒石を使った場合は、白石を打てず将棋側の手番になる。
囲碁は将棋駒を囲むことで将棋駒を取れる。この方法で取った駒は正規のアゲハマとして1目の地として数えることが出来る。
白地の中に黒石がある場合、その分の地を減らして数える。
黒石の使い方については繰り返しになるので
本文中の「黒石ルールのまとめ」を参照してください。
ようやく囲碁と将棋の対戦を記事にすることが出来ました。
バランスは取れたと思いますが、実際に何度も打ってみることで
囲碁でいう「コミ」のように
勝利条件の数字を調整していければと思います。
こういう微調整が効くことは強みですね。
記事を読んだ囲碁ファン・将棋ファンの方には、ぜひ異種対決を試していただきたいと思っています。
そしてついに残りあと1戦です。最後まで応援よろしくお願いいたしますm(__)m
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