花札の世界が広がり深まる『八八道具セット』の吟味された遊び心

ハハ道具セットは、あかよろし

昨年の正月に、花札の遊びの1つ「八八」についての記事を書きました。

あれは書くのがすんげえ大変でした。ハハは細かいルールが多いし複雑ですからね。

面倒くさがりのねずみにしてはずいぶん頑張って書いたものですよー

 

nezumileader.hatenablog.com

 

 

すると先日、その記事を見てくださった方が

なんと『八八道具セット』をねずみ宛に送ってくださったのです!

 

いやーありがとうございますー(*^◯^*)

ずっと欲しかったのでこれはとても嬉しい。頑張って書いたのが報われた気分です。

まるで日本昔話にでも出てきそうな雰囲気の木箱。

戦前のものらしいです。歴史的資料としてもかなり貴重なのでは。

底面には「ぎんざ上方屋製」と印字されていました。

 

宝箱を開けてみる

よーしさっそく開けてみよう。いったい何が入っているやらワクワクですよー

実のところあの記事を書いたときも、道具については詳しく調べなかったので。

おおっ、花札が2組入ってる!?

そういえば素早く遊ぶために交互に使われていたとか。

 

 

入っていたものはこれで全部です。

後で調べて分かりましたが穴ボコだらけのフタもちゃんと意味があります。

ねずみがこうして記事にすることも、きっと意味があります。

 

 

花札と得点と借金

任天堂の花札

それでは順に見ていきましょう。

まずは花札から。デザインは今と全く変わらないように見えます。

違うのは文字が右から書かれていることくらいかと。

堂天任じゃあないぞー

任天堂ってそんなに昔からあったの!?とSwitchとマリオしか知らない人は驚きそう。

任天堂の創業は1889年(明治22年)で、最初は花札を作る企業だったのですよー

 

 

碁石と巾着袋と碁石籠(花見籠)

碁石は点数のやり取りに使います。

白は1貫・黒は1文。(1貫=12文)

5貫を持ち点として碁石籠に入れ、参加者全員に渡します。

比較用に普通の碁石も置きました。八八セットの碁石はサイズが一回り小さいのです。

 

 

貫木

碁石で払いきれない分の得点を借金して、代わりに使うのが貫木です。

大場・絶場のルールができて点数が爆上げになってからは

どうせすぐに使うことになるのでと、あらかじめ貫木をいくらか配るようになったとか。

50貫・20貫・10貫・5貫の貫木。5と五があるのは表と裏です。

 

 

だるま(改貫札)

手も足も出ない(´・ω・`)という意味でだるまが使われます。

最初に配られた貫木も使い切って、さらに貫木を借りるというときに

借用証としてだるまを受け取るのです。

だるま1個を何貫分の証にしていたかは、その時々に応じて変化してきたようです。

 

 

番個板

箱の裏のこれは番個板といって、各回に勝った人が1文(黒石1個)を入れます。

これで12回戦をカウントするわけです。

最終的に最下位だった人が全部もらえます。救済措置みたいなものですね。

 

 

当て字と遊び心

美づてん・銀見勲章・軍配

ハハの記事では「見ず出」と表記しましたが、ここでは美づてんと書かれていました。

銀見勲章は最終的な勝者がもらえる優勝記念品的なもので

全員の得点を正確に「吟味」することから来ています。

軍配(雨桐絶体之章)は絶場になったときの表示に使います。

 

 

裏側。ここからはねずみなりの解釈です。

柳(雨)とてんとう虫の絵は、「みず」「てん」の駄洒落なのでは。

軍配上部に描かれているのは月(陰)と日(陽)

つまり下の図は、易経でいう八卦太極図のようなものと見て間違いないでしょう。

 

 

 

菓子札

お金をやり取りしたら賭博になってしまいますが

お菓子のやり取りならよかろうと、使われていたのが菓子札です。

開始前に全員に均等に貸し(菓子)出します。

小さいほうが菓子1。

大きいほうが菓子10。表には柿、裏には七福神と小判が描かれています。

 

 

そして菓子1の裏には、格言やら占いやら一言ネタやらが書かれていました。

なんと1枚1枚全部書いてあることが違うのです。これは凄い!

花札に対応した絵で各月ごとに並べてみました。複数枚ずつあります。

 

 

草書体なので読むのがけっこう大変なのですが

読み取れた中から、なんかちょっと面白かったものを5枚載せておきます。

向ふが玄人だから気を付けて引くよ

眠い目で引けば負けの元。顔を洗っておいで

余り歓ぶと敵にさとられるよ

銀見を取るまでやるべし

銀座上方屋は十二時過ぎまで起きて居ます。電話かけて下さい。お届けいたします

 

 

ハハ道具を使って遊ぶ

花札とメモ帳だけあれば八八は遊べますが

道具セットが加わるとちょっとしたボードゲームっぽくなって楽しさが増します。

 

ミケ「短一や。3貫くれ。おっと絶場やから12貫やったわ」

クロ「僕は立三本。同じく12貫」

グレー「ほれねずみ。追加のだるまだ」

ねずみ「むうう、だるまコレクターみたいになってきた」

 

昔の人もこんな風に遊んだのだろうと道具を通していろいろと想像できるから

八八道具セットは、花札の世界そのものを広く深くさせてくれます。

 

銀見(吟味)勲章、菓子(貸し)札のような言葉遊び。

菓子札に書かれている一言一言の面白さ。

そこかしこに感じさせる遊び心が、時代を超えて伝わってくるのです。

 

ねずみのひとりごと カテゴリーの記事一覧 - 遊びの教室とまとくんブログ